学位論文 | Roscellinus Compendiensis

学位論文

 普通、大学の学部教育課程でゼミに入っていたり、必須になっていると、卒業し学士号を得るためには「卒論」と呼ばれる学位論文の提出、審査合格が必要になります。学部によっては学位論文なしで卒業できる場合もありますが、概ね学位論文の合格で学士号取得です。

 

 学位論文を書く、提出する、審査に合格するというのは、それはそれでなかなかの重労働です。四年間学んだ集大成をまとめあげるのですから容易ではありません。ですから、担当教員が論文作成の指導をするということになっています。

 

 しかし、ここに落とし穴があって、本来自分で考え、まとめあげ、書くという一連の作業に検閲が入るという事態に陥りやすいのです。云々の部分は削除して、この部分に文献の云々の部分を入れるようにと。

 

 担当教員側の言い分は、「学生とともに学位論文を作成する」なのですが、度が過ぎて論文の主役が考えることをせずに担当教員の指導のままに論文を完成させてしまいがちになってしまうのです。

 

 ですから、卒業しても自分が何を学んで論文にしたかを即答できる人は日本には少ないです。真面目な人ほど、担当教員の行き過ぎた指導を受け入れるからです。

 

 そうではなく、本来自分の四年間の集大成なのですから他人の手垢がついてない方が健全なのです。指導は最小限に、主役は学生側にというのが本来あるべき姿だと思います。論文には口頭試問という質疑応答の機会が設けられることが多いですので、疑義があればそこで明白にすべきでしょう。

 

 欧米では自主性の方がやや強い傾向にあると思います。日本の学部教育はあまりに過保護だというのが現実です。学位論文で戯言や適当なことを書く学生は論文審査の過程で不合格にし、次の年の機会を与えればいいのです。