崩壊前夜 | Roscellinus Compendiensis

崩壊前夜

 フレンド・ショアリングからの退場、サプライ・チェーンからの離脱。これだけで中国経済の未来は読めるでしょう。

 

 輸出によって富を獲得してきた中国にとって、前述の二つの退場は痛恨の極み。貿易がままならない状態で、現状の経済力を維持するのは不可能ですし、富に慣れ親しんだ中国人の欲求を満たすことはできなくなります。

 

 こうなると経済政策を転換して内需拡大しかないのですが、中国国内の賃金相場の急上昇と強度のインフレに政策が間に合うことはないでしょう。先進国の他の第三国への輸出という方法を模索はするでしょうが、アメリカを筆頭とする先進国への輸出に慣れた中国経済は、輸出相手国の市場規模の差に耐え切れないと思われます。

 

 中国人は歴史的に商売上手で経済政策に優れているというのは神話です。現代においてはそのような神話は通用しません。世界経済というのはそれだけ複雑で、一度枠から抜けると立ち直れなくなる仕組みになっているのです。

 

 経済政策で失策したとなると、習近平体制に及ぼす影響は予想以上に大きいものとなるでしょう。習近平は富を獲得して平均的中国人の生活水準を上げることを目標とし、国内で富を生産して分配する経済政策よりも手っ取り早く、より大きな富を得られる輸出産業に重きを置きました。それが今回の退場処分でゼロベースに戻されるわけです。

 

 富の獲得政策によって生活水準の上がった富裕層はもちろん、一般的な中国人には今更の内需拡大政策など受け入れられるものではありません。

 

 国民生活が困窮していてもミサイルを撃っていれば満足する国ではないのです。

 

 唯一、習近平体制にとって味方になるのは中国共産党の存在です。一党独裁の国家なので、民主化要求や経済政策への不満を秘密裏に葬っておけば体制に及ぼす影響は少ないでしょう。

 

 しかし、中国人に限らず何人でも生活にダメージを受けると予想外の展開を見せるということも事実です。国家体制の維持よりも、生活水準の維持が個々の市民感情のバロメーターになります。

 

 頼みの綱のロシアはもはや崩壊寸前ですから、中国もそれに準ずるのか否か習近平の能力が問われるところです。