危険なアウトプット | Roscellinus Compendiensis

危険なアウトプット

 前回、インプットに囚われているとアウトプットが疎かになり、就職活動などのシーンでは不利になるといいました。

 

 今回はアウトプットが先行した時の危険性を語りたいと思います。

 

 バランスの良い人材というのは、ほどよく知識がインされ応用展開してアウトできる者です。インは大きすぎず小さすぎず、アウトはインされた知識や世界観に基づいて他者にアウトされます。ですから応用展開されたアウトプットは、個々人のインプットに紐づいているので他者にも容易に遡行できるのです。理解されやすいということです。

 

 フッサールは意識とは常に何かへの意識だといい、それを「志向性」と名付けました。「志向性」というとイメージしにくいですが、ハイデガーはそれを「関心」と言い換えています。つまり、何かをいうとき、考えるとき、それは何かへの「関心」が存在するということです。まさにアウトプットされるものは、様々な「関心事」=その人の世界観を紐づかせて示すのです。

 

 だからアウトプットのバランスの悪い人というのは、「関心事」が不足した状態で無理にアウトプットするので、本来紐づいているはずの知識=世界観とアウトプットされる内容が切断されやすく、他者には遡行し根拠を検討することができず、独りよがりな戯言に終わってしまうのです。

 

 他者に適正なアウトプットを行うには、相応の知識のインプットが必要なのです。前回はインプットに頼り過ぎる時代は終わったといいましたが、アウトプットするためには最低限コミュニケーションを成立させるだけのインプットは必要です。

 

 アウトプットするとき、受け手はアウトする者の世界を見ているのです。

 

参照記事

危険なインプット | Roscellinus Compendiensis (ameblo.jp)

抽象 | Roscellinus Compendiensis (ameblo.jp)