錬金術 | Roscellinus Compendiensis

錬金術

 巷では100万円が1億円になったとか、株は凄い青天井ということ耳にしますが、少しも私の人生にそのような大枚が関与したことはありません。父はサラリーマンと僧職を兼任してひたすら同じサイクルで仕事をし続けていました。母は執拗に何でもいいのでサラリーマンになって、ひたすら働け、健康保険証を頂けと言っていました。
 
 父が自分の人生に納得いかぬということは肌で感じていましたし、今まさに晩年の父はそれなりに肩の荷が下りたようで安堵しています。しかし、母の場合は少し違いいます。気性難に加えて、私のように目的が決まらねば先へ進めない人間にとっては最も話し合いにもならない。私から見れば、「人間こう感情的になったら終わりだよね」という理解になります。「健康保険証」を民間の企業から頂くことが人生の最良策だという発想も奇抜というにはいいのかもしれませんが、阿呆です。健康保険は自分の意志で加入して、負担金を支払って成立している制度。全てにおいて母は思い込みで成立し、それを他人に押し付けるわけです。これは私のような小市民にとっては暴力にしか見えません。
 
 母が私を何円の価値の人間と思っているか存じませんが、少なくともかなりチープな額面がでてくるでしょう。千利休所有の茶器なんか比べ物にならないくらい安い。おそらくスーパーマーケットで購入できる程度です。そんな人間にサラリーマンがいかほどの価値か存じませんが、なれといわれても面食らうのです。母が錬金術師なら話し合いの余地があるのですが…。