三権分立 | Roscellinus Compendiensis

三権分立

 間違いなく日本は危ない方向に向かっています。憲法学のオーソリティーの知見を無視した国会運営、国民の意思を問わない政府の暴走。フランス的に言えば「革命前夜」。

 槍を持て!刀を磨け!という暴力に対する暴力の発動。各国の革命を詳細に読んでいると、意外にも革命と言うのは急激に達成されています。だからといえ、抵抗権を旗印に血なまぐさい革命を市民を巻き込み推し進める考え方には反対します。暴力に対する暴力は正義なのではなく、暴力の席移動にすぎない。しかし、日本においては憲法裁判所もなければ、市民の意思が直接行政府に反映される装置もない。

 もっと言えば市民にも状況を打破しようとする意思が弱いように思えます。古臭い利権絡みの政党政治が行われているからです。本来国政を任されるのは、国民から選ばれた良識ある代議士なわけですが、単なる地域の利益代弁者に過ぎないのが現実です。

 しかし、日本という国が危ない領域に足を踏み出したことは否定できない事実。これをどのように処理し、反対勢力が合法的にこれを飲み込むのかが見物でしょう。

 ドイツの場合、最悪な道筋を歩んできました。憲法裁判所の国外への派兵は合憲だという判決です。これで多くの人が二次大戦、湾岸戦争の不参加の国内外の不評を払拭できたと考えたというと、そうではありません。半数以上の人が派兵、空爆参加に反対しています。議会でも反対派への造反が増大し、賛成派と拮抗するようになっています。

 政府が派兵したい、あるいは派遣したいなら、派兵や派遣可能な地域を明確に決定すべきですし、明文化することが市民への礼儀です。

 私はかねてから憲法裁判所を創設すべきだと述べてきましたが、憲法裁判所という特殊な政府にも市民にも平等な関係をもたらす機関の創設前に乱暴にまとめあげられたなという徒労感でいっぱいです。

 どんな人でも憲法の関係条文を読む限り暴力的な解釈だというのは明白です。ここからが勝負です。日本の市民の良識が問われるわけです。覆さないといけない。現行ルールでは行政府にアドバンテージが与えられていますが、そのような障害を乗り越えて正義という方向を見ないといけない。