社会主義と共産主義 | Roscellinus Compendiensis

社会主義と共産主義

 意外に分かってるようで理解されていない政治制度。簡単に言えば私有財産を廃止して社会のものとして考える体制。

 こういうと共産主義と同じではないか?という疑問が出ますが、誤解を恐れずに言うと同じです。要するに資本主義から共産主義への間にある体制です。ですから、マルクス主義のテーゼである資本主義の発展から社会主義体制に移行してゆく必然性をマルクス主義では「科学的社会主義」と呼ぶのです。ここで重要なのは、資本主義から社会主義へ移行し、最終的に共産主義へ辿り着くことの必然性です。なのでマルクス主義では、その必然性を担保に社会主義を共産主義化の一段階と捉えているわけです。

 マルクス主義の目線で見ると、社会主義体制下では労働者は労働に応じた対価を受け取るとされています。マルクス及び、マルクス主義者が私有財産を国有化していても社会主義をブルジョワ的と揶揄するのは、共産主義における富の分配、すなわち生産力が確実に確保されている体制における高次の富の分配とは似て非なるものだからです。

 マルクス主義から見れば、このように社会主義には未だ資本主義の労働対価という古いシステムが残されているので共産主義への入り口に過ぎないわけです。

 マルクス主義的共産主義と社会主義のいずれが進歩的で、正しいかなど分かりません。それは市民の決定することです。進歩的という言葉を使いましたが、マルクス主義にとっては社会主義は資本主義体制からの進歩という点では進歩的なのです。

 マルクス主義、共産主義にとって、社会主義とは資本主義の脱線に過ぎないということです。そして、この図式のレジティマシーはマルクス主義者をもってして来るべき共産主義体制への入り口の開く程度の扱いを受けるということです。

 これまで見てきたように、意外に社会主義=共産主義=マルクス主義と捉えがちですが、社会主義政権と共産主義政権の間には大きな溝があるのです。もちろん、このような見方はあくまでマルクス主義に依存するわけですが…。