斎藤慶典『デリダ なぜ「脱-構築」は正義なのか』 | Roscellinus Compendiensis

斎藤慶典『デリダ なぜ「脱-構築」は正義なのか』

デリダ―なぜ「脱‐構築」は正義なのか (シリーズ・哲学のエッセンス)/日本放送出版協会

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 これは酷い…。現象学やデリダのことを知らない人が読むなら最悪の結果になるでしょう。日本語が崩壊してゆくのを見届けるだけになる。
 
 あくまで私の感想ですが、本書は「デリダ好きが、デリダの真似をして、日本語でデリダを語ってみた」というようなものです。読み手に再構成することを要求します。だから、読み手が変われば本書で書かれている意味も多様になるでしょう。これはデリダの脱構築の狙いそのものですが、デリダの脱構築を説明する解説本で実践するのは大人気ない。
 
 確かにこちらの方で再構成してやりながら、一定の意味を付与していくと、著者のテーマに対する回答にたどり着くのですが、かなり迂回しなければ到達しません。
 
 現象学やデリダに精通している、あるいは書き手を助けてあげる読み方をできる人限定の作品です。著者に失礼ながら特に読む必要もないし、読んだところでただ時間が過ぎるだけだと思います。